2026/08/05

カホンはドラムの代わりになるか?王道フレーズ叩き比べ #06【タカタカドコ編】

「カホンはドラムの代わりになるか?」をテーマに、ドラマーにお馴染みの定番フレーズを叩き比べる検証企画。 シリーズ6本目となる今回のテーマフレーズは、怒涛の畳みかけとキレのある着地が心地よい『タカタカドコ タカタカドコ プラッ』です!

ドラムなら手足のコンビネーション(ツーバスやバスドラムの連打)で豪快に鳴らすこのフレーズ。これをカホン単体で、しかもあのスピード感と音圧を維持したまま叩ききるには、またしてもカホン特有の「手順の合理化」が必要になります。

まずは動画で、カホンとドラムそれぞれの手順に注目して聴き比べてください。


今回は、前回の「右手三つ打ち」の技術を応用した、カホンならではのアプローチを徹底解説します。

◆ドラムとカホンの手順(パラディドル)比較
まずは、それぞれの楽器で叩いている手順の違いを見てみましょう。

ドラム(手足の連打): R L R L K K ➔ R L R L K K ➔ r L(プラッ)

カホン(手のみの連打): R L R L R R ➔ L R R L R R ➔ r L(プラッ)

ドラムの後半『ドコ』にあたる足の2打(K K)を、カホンでは手首のスナップと腕のコントロールを使った「右手ベース2連打(R R)」でカバーしています。

一見すると変則的に見えるこの手順ですが、実は音響的な理由と肉体的な運動生理の両面から考えられた理由があります。

◆徹底深掘り:なぜ「右手ベース連打(R R)」にするのか?
通常、こういった6連打のフレーズを叩く際、多くの方は左右交互(R L R L R L)のオルタネイト手順を思い浮かべるかもしれません。

しかし、あえて「ベース2打を右手(R R)に集約させる」のには、明確な3つの意図があります。

① 「ベース音の太さ」を右手でキープするため
カホンの打面中央(ベース音)は、高音(スラップ)に比べて「芯のある太い音」を鳴らすのにしっかりとした音圧が必要です。利き手(右手)のほうがコントロールしやすく、打面の狙ったポイントに力強く手のひらを叩き込めます。

私自身の手癖(慣れ)でもありますが、ドラムのバスドラムのような太い低音感を再現するために、ベース2打は右手(R R)に任せたいのです。

② 2回目の「タカタカ」へのスムーズな移行
1回目のベース右手2打の直後、2回目の「タカタカ」をあえてL R R Lという手順(パラディドル)を選択する方が全体の流れがスムーズになります。

もちろん、パラディドルで叩きながら均一な音色のスラップを鳴らすという技術的な難しさはありますが、余計な力みが生まれず、その後のベース2打(R R)や最後の着地フレーズへ無理なくバトンタッチすることができます。

③ 最大のポイント:着地の「プラッ(r L)」の左アクセントを守る
そして、この手順にする最大の理由が「最後の着地(r L)」にあります。

もし一般的な左右交互(R L R L R L)で叩いた場合、フレーズ終わりのベース2打は R L となります。 すると、その直後にやってくる決め台詞である「フラム(r L)」のメイン音を鳴らす左手(L)が、ベースの位置から一瞬でスラップの位置まで駆け上がって強音を叩かなければならなくなります。

これでは打面移動が間に合わず、着地であるフラムの左手アクセントが弱くなったり、音色がブレたりする大きなリスクが生まれてしまいます。

ベース2打をあえて「右手連打(R R)」に集約させることで、最後のベースを右手が叩いている間に左手は高音(スラップ)の位置で落ち着いて待機(準備)できます。

だからこそ、最後の『プラッ(r L)』で、左手の力強いメインアクセントを100%の精度で叩き込むことができるのです。

文字だけではイメージしづらい「ベース2打から一瞬でスラップへ高速移動する右手の動き」や、「左手が待機してフラムへ着地する瞬間」は、ぜひ動画を見返してご確認ください!

一見すると複雑に思える手順ですが、すべては「音色の太さを維持し、フレーズの最後のキメを最高のキレで鳴らしきるため」の、徹底的に合理化されたアプローチです。

ぜひ、ご自身のカホンプレイや手順の組み立ての参考にしてみてください!

2026/08/02

音が出ないRoland RH-5を直してワイヤレス専用機に改造してみた

ハードオフで興味をそそるジャンク品のヘッドホンを見つけたので、修理してみることにしました。 機種はRolandのエントリーモデル「RH-5」。状態は「片側の音が出ない」とのことです。

テスターで確認すると、やはり右側だけ導通がありません。 スライダー部分を外してみたところ、渡り線の外装が破れて導体が見えている箇所を発見。これが原因と思われます。

渡り線を交換すべく、まずは全バラし。基本的な構造は一般的なヘッドホンと変わらないタイプだったので、スムーズに分解できました。 特にこだわりもなかったので、手元にあるパーツで修理を進めます。

交換用の渡り線には、定番の「BELDEN 8503」の赤・白を使用。 以前行ったMDR-CD900STの渡り線交換の時と同様、純正よりも線が太く、本数も2本になったことで、そのままでは収まりません。 そこで、イヤーハンガーの溝を削り、穴を開けて一旦外側に出してから、ハウジングにも穴を開けて内部に通す形に加工しました。

最後に左右のドライバーへハンダ付けして作業完了。導通チェックも問題なしです!

実際に試聴してみたところ、音質は悪くはないものの、ミックス作業には少し向かないと感じました。 そこで、本体の軽さ(190g)を活かし、外付けのBluetoothレシーバーを取り付けてワイヤレス専用機として活用することに。室内での「ながら聴き」にかなり良さそうです。

今回は、故障症状から原因を予想し、ネット上の修理情報に頼らず直すことができました。ヘッドホンの構造理解に自信がついた、満足のいく作業でした。

2026/07/29

カホン「右手三つ打ち」スロー解剖!高速連打の裏側

第3回・第4回の検証動画でご紹介した、カホンの王道フィルイン『タカトコジャン』と『タッタカジャン』。

一見すると流れるようにシンプルに叩いているように見えますが、実はどちらのフレーズにも、高速連打を可能にする「右手三つ打ちテクニック」がフル活用されています。

「等倍速では速すぎて手の動きが目で追えない!」という声にお応えして、今回はそれぞれの右手の動き、手首と肘の連動を徹底的に可視化する【スローモーション技術解剖動画】を用意しました。

まずはじっくりと、その肉体のコントロールをご覧(凝視)ください!


◆動画のタイムラインと解説ポイント
今回の動画は、それぞれのフレーズの手順テロップとともに、じっくり動きを分析できる構成になっています。注目すべき「裏側のテクニック」を解説します。

① タカトコジャン編

手順: R L R R [R+L]

【ここに注目!】
『タカトコ』の後半『トコ』の右手の使い方がポイントです。
1. ベース1打目を打つと同時に、少し脇を開くイメージで手のひらの「ヒール側」から手首を上げる
2. 手首のスナップを効かせて「トゥー側」で2打目を打つ
3. その瞬間に肘を下ろすイメージで、再び手首のスナップを使って3打目を手のひら全体で打つ

スローモーション(0.5倍速)で見ると、3打とも同じように手のひらを打面に当てているわけではなく、微妙にベースの音色が違うのがよく分かります。このように、ベースを右手で3打叩ききり、その間に空けた左手でシンバルを叩く方が、フレーズのスピード感を崩さずにスムーズに移行できる。そう考えて、私はこの手順を選択しています。

② タッタカジャン編

手順: L R R [R+L]

【ここに注目!】
第4回で解説した、あえての「左手(L)スタート」から始まるフレーズです。
最初の1打を左手に任せたあと、右手がスラップからベースへと高速で連打する瞬間にご注目ください。

『タカトコジャン』の場合と腕全体の使い方はほぼ同じですが、『タッタカ』の『タカ』の1打目は通常のスラップの位置で打ち、2打目は少しベース寄りに、3打目でベースの位置へと手のひらを運んでいるのが分かります。まるで少しずつ肘を伸ばしているようなイメージです。

こちらもスローモーション(0.5倍速)で見ると『タッタカ』のスラップ3音に若干の音色の違いが出ますが、通常の演奏の中ではその違いが気になることはなく、手癖(R R L)のまま無理に叩こうとするのとは違い、最もスピードが必要な部分を右手のコンパクトなスナップに集約させているため、無駄なブレが一切ありません。

◆リズム演奏の中でどう活きるか

フレーズ単体で叩く時と、インテンポの流れの中で一瞬だけあの高速移動を組み込む時とでは、身体の使い方のシビアさが全く異なります。

リズムが崩れないよう、いかに滑らかに「三つ打ち」へとシフトし、また何事もなかったかのように基本ビートへ戻っていくか――。

ぜひ、再び流れる0.5倍速のスロー演奏と見比べながら、その絶妙な手首の脱力感を盗んでみてください。

「一見不自然に見えつつも、徹底的に合理化された手順と腕の使い方」

そのすべての答えが、このスローモーション映像の中に隠されています。何度も繰り返し再生して、皆さんのカホンプレイの参考にしていただければ幸いです!

2026/07/22

カホンはドラムの代わりになるか?王道フレーズ叩き比べ #05【6ストロークロール編】

「カホンはドラムの代わりになるか?」をテーマに、ドラマーがお馴染みの定番フレーズを叩き比べる検証企画。

第5回となる今回のテーマフレーズは、数あるルーディメンツ(ドラムの基礎打法)の中でも、実際のフィルインでトップクラスに多用される超実戦向けフレーズ、『6ストロークロール(+タカドン)』です!

手順自体はドラムもカホンも全く同じなのですが、今回は「叩き方のアプローチ」が根本から異なる、お互いの楽器の特性が顕著に現れた検証になっています。

まずは動画で、そのアプローチの違いを聴き比べてみてください!

◆ 今回の検証ポイント

動画はいかがでしたでしょうか?

今回の比較で、特に注目してほしいポイントは以下の3つです。

1.ドラムの2つ打ちと、カホンの2つ打ちの音響的なニュアンスの違い

2.「全く同じ手順」なのに、中身の技術が180度違う面白さ

3.最後の『タカドン』へ繋がるダイナミクス(音の強弱)のコントロール

動画のテロップでも紹介している通り、今回のフレーズ『6ストロークロール+タカドン』は、ドラム・カホンともに以下の完全に同じ手順で演奏しています。

ドラム手順: R l l r r L  R L R

カホン手順: R l l r r L  R L R

手順は1文字たりとも変わらないのですが、真ん中の弱音(ゴーストノート)である l l r r の部分、実は使っている身体のパーツが全く違います。

ドラムの場合、スティックの「跳ね返り(リバウンド)」を利用して、ダブルストロークで演奏します

しかし、楽器自体にリバウンドがほとんど無いカホンで同じことをやろうとすると、打面板の跳ね返りが使えないため、手首を使った2つ打ち奏法でもよいのですが、6ストロークロールのニュアンスが出にくいかと思います。

そこでカホン単体の場合、「指」を使った奏法(フィンガータップ)で演奏します。

手のひらを打面に添えながら、指先を独立させてバラバラとコントロールすることで、リバウンドに頼らずにハイスピードな連打を生み出しているのです。

ちなみに私の場合は、この l l r r を【左手中指 ➔ 人差し指】➔【右手中指 ➔ 人差し指】という順で叩いています。

「同じ手順を、ドラムはスティックの物理特性(反発)で、カホンは人間の肉体(指の独立)で攻略する」

動画で見ると同じような速さで流れるように叩いているように見えますが、その裏側にあるアプローチの違いを意識してもう一度動画を見返してもらうと、ドラムとカホンの「楽器としての本質の違い」が見えてきてとても面白いと思います。

というわけで、検証シリーズはまだまだ続きます。

次回もどうぞお楽しみに!