2026/07/29

カホン「右手三つ打ち」スロー解剖!高速連打の裏側

第3回・第4回の検証動画でご紹介した、カホンの王道フィルイン『タカトコジャン』と『タッタカジャン』。

一見すると流れるようにシンプルに叩いているように見えますが、実はどちらのフレーズにも、高速連打を可能にする「右手三つ打ちテクニック」がフル活用されています。

「等倍速では速すぎて手の動きが目で追えない!」という声にお応えして、今回はそれぞれの右手の動き、手首と肘の連動を徹底的に可視化する【スローモーション技術解剖動画】を用意しました。

まずはじっくりと、その肉体のコントロールをご覧(凝視)ください!


◆動画のタイムラインと解説ポイント
今回の動画は、それぞれのフレーズの手順テロップとともに、じっくり動きを分析できる構成になっています。注目すべき「裏側のテクニック」を解説します。

① タカトコジャン編

手順: R L R R [R+L]

【ここに注目!】
『タカトコ』の後半『トコ』の右手の使い方がポイントです。
1. ベース1打目を打つと同時に、少し脇を開くイメージで手のひらの「ヒール側」から手首を上げる
2. 手首のスナップを効かせて「トゥー側」で2打目を打つ
3. その瞬間に肘を下ろすイメージで、再び手首のスナップを使って3打目を手のひら全体で打つ

スローモーション(0.5倍速)で見ると、3打とも同じように手のひらを打面に当てているわけではなく、微妙にベースの音色が違うのがよく分かります。このように、ベースを右手で3打叩ききり、その間に空けた左手でシンバルを叩く方が、フレーズのスピード感を崩さずにスムーズに移行できる。そう考えて、私はこの手順を選択しています。

② タッタカジャン編

手順: L R R [R+L]

【ここに注目!】
第4回で解説した、あえての「左手(L)スタート」から始まるフレーズです。
最初の1打を左手に任せたあと、右手がスラップからベースへと高速で連打する瞬間にご注目ください。

『タカトコジャン』の場合と腕全体の使い方はほぼ同じですが、『タッタカ』の『タカ』の1打目は通常のスラップの位置で打ち、2打目は少しベース寄りに、3打目でベースの位置へと手のひらを運んでいるのが分かります。まるで少しずつ肘を伸ばしているようなイメージです。

こちらもスローモーション(0.5倍速)で見ると『タッタカ』のスラップ3音に若干の音色の違いが出ますが、通常の演奏の中ではその違いが気になることはなく、手癖(R R L)のまま無理に叩こうとするのとは違い、最もスピードが必要な部分を右手のコンパクトなスナップに集約させているため、無駄なブレが一切ありません。

◆リズム演奏の中でどう活きるか

フレーズ単体で叩く時と、インテンポの流れの中で一瞬だけあの高速移動を組み込む時とでは、身体の使い方のシビアさが全く異なります。

リズムが崩れないよう、いかに滑らかに「三つ打ち」へとシフトし、また何事もなかったかのように基本ビートへ戻っていくか――。

ぜひ、再び流れる0.5倍速のスロー演奏と見比べながら、その絶妙な手首の脱力感を盗んでみてください。

「一見不自然に見えつつも、徹底的に合理化された手順と腕の使い方」

そのすべての答えが、このスローモーション映像の中に隠されています。何度も繰り返し再生して、皆さんのカホンプレイの参考にしていただければ幸いです!

2026/07/22

カホンはドラムの代わりになるか?王道フレーズ叩き比べ #05【6ストロークロール編】

「カホンはドラムの代わりになるか?」をテーマに、ドラマーがお馴染みの定番フレーズを叩き比べる検証企画。

第5回となる今回のテーマフレーズは、数あるルーディメンツ(ドラムの基礎打法)の中でも、実際のフィルインでトップクラスに多用される超実戦向けフレーズ、『6ストロークロール(+タカドン)』です!

手順自体はドラムもカホンも全く同じなのですが、今回は「叩き方のアプローチ」が根本から異なる、お互いの楽器の特性が顕著に現れた検証になっています。

まずは動画で、そのアプローチの違いを聴き比べてみてください!

◆ 今回の検証ポイント

動画はいかがでしたでしょうか?

今回の比較で、特に注目してほしいポイントは以下の3つです。

1.ドラムの2つ打ちと、カホンの2つ打ちの音響的なニュアンスの違い

2.「全く同じ手順」なのに、中身の技術が180度違う面白さ

3.最後の『タカドン』へ繋がるダイナミクス(音の強弱)のコントロール

動画のテロップでも紹介している通り、今回のフレーズ『6ストロークロール+タカドン』は、ドラム・カホンともに以下の完全に同じ手順で演奏しています。

ドラム手順: R l l r r L  R L R

カホン手順: R l l r r L  R L R

手順は1文字たりとも変わらないのですが、真ん中の弱音(ゴーストノート)である l l r r の部分、実は使っている身体のパーツが全く違います。

ドラムの場合、スティックの「跳ね返り(リバウンド)」を利用して、ダブルストロークで演奏します

しかし、楽器自体にリバウンドがほとんど無いカホンで同じことをやろうとすると、打面板の跳ね返りが使えないため、手首を使った2つ打ち奏法でもよいのですが、6ストロークロールのニュアンスが出にくいかと思います。

そこでカホン単体の場合、「指」を使った奏法(フィンガータップ)で演奏します。

手のひらを打面に添えながら、指先を独立させてバラバラとコントロールすることで、リバウンドに頼らずにハイスピードな連打を生み出しているのです。

ちなみに私の場合は、この l l r r を【左手中指 ➔ 人差し指】➔【右手中指 ➔ 人差し指】という順で叩いています。

「同じ手順を、ドラムはスティックの物理特性(反発)で、カホンは人間の肉体(指の独立)で攻略する」

動画で見ると同じような速さで流れるように叩いているように見えますが、その裏側にあるアプローチの違いを意識してもう一度動画を見返してもらうと、ドラムとカホンの「楽器としての本質の違い」が見えてきてとても面白いと思います。

というわけで、検証シリーズはまだまだ続きます。

次回もどうぞお楽しみに!

2026/07/15

カホンはドラムの代わりになるか?王道フレーズ叩き比べ #04【タッタカジャン編】

「カホンはドラムの代わりになるか?」をテーマに、ドラマーがお馴染みの定番フレーズを叩き比べる検証企画。

第4回となる今回のテーマフレーズは、こちらもフィルインの超王道、『タッタカジャン』です!

一見シンプルで、ドラムなら初心者の方でも叩きやすいフレーズですが、カホン単体になると「右手の連打」に加えて、「スラップ(高音)からベース(低音)への急激な打面移動」が加わる、やや難易度が高いフレーズとなっています。

まずは動画でその絶妙なニュアンスの違いと、手の動きを聴き比べてみてください!

◆ 今回の検証ポイント

動画はいかがでしたでしょうか?

今回の比較で、特に注目してほしいポイントは以下の3つです。

1.プチドラムセットとカホン単体での『タッタカジャン』の音の分離感の違い

2.前後の繋がりから逆算された「左手(L)スタート」の手順の妙

3.フレーズのニュアンスを限られた打面でどう表現しきるか

動画のテロップでは、今回のメインである『タッタカジャン』の部分に絞って、それぞれ以下の手順で表記しています。

ドラム手順(動画表記): L R L [R+K]

カホン手順(動画表記): L R R [R+L]

ここでお気づきの方もいるかもしれませんが、この『タッタカ』を叩く際、一般的には右手から入る手順(R R Lなど)が普通です。しかし、今回はあえて左手(L)スタートにしています。

なぜ動画でこの手順になっているのか。実はここに、自然な手順を考えた「前後の繋ぎ」の意図があります。

今回の演奏では、全体のフィルインとしてその前に『タカトコ』と叩いており、一連の流れとしては『タカトコタッタカジャン』というフレーズになっています。

前半の『タカトコ』を R L R R という手順で叩き終わるため、その流れを一切殺さずに後半へ繋ぐには、次の『タッタカ』の頭を左手(L)から始動するのが、身体の構造上最も自然で無駄がないのです。

さらにカホン単体の場合、ここから高音(スラップ)から低音(ベース)への瞬発的な打面移動が必要になります。もしここで無理に右手スタートに戻したり、手癖で R R L の手順で叩こうとすると、不自然な手順になり、最後の「ジャン」で腕を振り上げるリカバリーが物理的に間に合わなくなってしまいます。

最初の1打を自然な流れのまま左手(L)に任せる。

動画で表記しているあの短い手順の裏には、後半の最もハイスピードな打面移動を右手(R)の連打に集約させ、次のシンバルへ向かう左手をフリーにするという、一見不自然に見えつつも徹底的に合理化された手順の考え方が隠されています。

…と、今回もシンプルに叩いているように見えるこの右手の動きですが、実はここにも、前回(第3回)お話しした「実速度では早すぎて分かりづらい、ハンドパーカッションならではの手首と肘の連動テクニック」がフル活用されています。

スラップを鳴らした刹那、肘と手首をしなやかに使って一瞬でベースの位置へ滑り込む…。この右手の一瞬の動きは、ハンドパーカッションならではのテクニックです。

前回の『タカトコジャン』、そして今回の『タッタカジャン』。

この2つのフレーズに共通して隠されていた右手の使い方(手首と肘の連動テクニック)については、追って別動画で【スローモーション技術解剖編】としてじっくり種明かししようと思いますので、そちらもぜひお楽しみに!

というわけで、検証シリーズはまだまだ続きます。どうぞお楽しみに!

2026/07/11

MDR-CD900STの渡り線交換

SONYの定番モニターヘッドホン「MDR-CD900ST」の渡り線(左右を繋ぐケーブル)交換に挑戦しました。

正直、音に大きな不満があったわけではないのですが、「変えられる場所があるなら、自分で交換してみたい」という、単なる探求心からのスタートです。

◆まずは全バラしから

まずはヘッドホンを完全に分解していきます。ハウジングの交換までは経験があったのですが、ヘッドバンドをバラすのは今回が初めて。「おぉ、こんな構造になっていたのか!」と興味津々で作業を進めました。

◆渡り線はBELDEN 8503をチョイス

交換用の渡り線には、定番の「BELDEN 8503」の赤・白をチョイス。2本を軽く撚ってからヘッドバンドの中を通していきます。

ただ、純正よりも線が太く、本数も2本になったことで、そのままでは収まりません。ヘッドバンドとスライダーを固定するパーツのケーブル穴を削って拡張。さらに、イヤーハンガーの溝には這わせられなくなったため、ハンガーの枝部分に直接熱収縮チューブで固定することに。ハウジング内への引き込みは、裏技的にエア抜き穴(ブッシュ穴)を活用しました。

一番の懸念は、渡り線がアジャスターの動きを邪魔することでしたが、動きもスムーズでスライダーが渡り線の被覆を擦っている感触もありませんでした。 試行錯誤しましたが、仕上がりの見た目もなかなかいい感じです。

◆メインケーブルも「MOGAMI 2893」へリケーブル

せっかくハンダゴテを握ったので、メインのヘッドホンケーブルも純正から「MOGAMI 2893」へ一新することに。プラグにはちょっと贅沢をして、OYAIDEの「P-275T」を組み合わせました。

◆いざ試聴! 改造を終えて

各線材の大幅な変更に加え、ハウジングのエア抜き穴からケーブルを通した(実質的な密閉度の変化など)ことで、「悪い方向に音が変わってしまったらどうしよう…」という不安は正直ありました。

しかし、実際に試聴してみたところ、その心配は杞憂に終わりました。バランスが崩れることもなく、むしろ大満足の仕上がりです。

今回の改造でMDR-CD900STの構造をすべて把握することができ、モノ作りとしても非常に面白い経験でした。もし今後、完全にノーマルの新品を手に入れる機会があれば、ぜひこの「フルチューン機」と聴き比べをしてみたいと思います。