2025/07/03

オーディオインターフェース改造記 Vol.2

 ある日、ハードオフのジャンク棚で、TASCAM US-1×2を発見。

「右チャンネルのラインアウトとヘッドホンアウトから音が出ない」とのことでしたが、自分で直せそうだな、と。

帰宅後、まずはジャックをアルコールで丁寧に洗浄してみたところ──

見事に復活。音が鳴った瞬間、思わずニヤけてしまいました。

もともとこのUS-1×2は、エントリーモデルながらも旭化成AKM4384という、なかなか良いDACを搭載しているんです。ただ、オペアンプや出力抵抗、そして電源周りの弱点から、そのポテンシャルが活かしきれていないのが惜しいところ。

「じゃあこの個体、本気を出したらどこまで行けるのか?」──そんな遊び心と探究心から、今回のチューンアップが始まりました。

ステップ①:オペアンプ交換 ─ 音に厚みを加える

まず着手したのは、ヘッドホンアウト直下のオペアンプ交換。最初はウォームでリッチな音色を狙って、厚みのある音のオペアンプにしてみました。確かに“音楽を聴く喜び”は増しましたが、求めていた「輪郭のキレ」や「鮮烈さ」がもう一歩足りず。

最終的には、USBバスパワー環境でも安定して駆動し、解像度とスピード感を両立できる実力派オペアンプを採用。ここでようやく、音の立体感と押し出しがぐっと前に出てくるようになりました。

ステップ②:出力抵抗の見直し ─ 抜けの良さを狙う

次に気になったのが、ヘッドホン出力の抵抗値。ちょっと高めの設定だったので、3216サイズのチップ抵抗を約1/3の値に交換。これにより、特に高インピーダンスのヘッドホンでの音抜けとドライブ感が大幅に改善。音がグイッと前に出てくる感覚が気持ちいい。

ステップ③:電解コンデンサ交換 ─ 音の下地を整える

続いては、オペアンプ周辺のコンデンサたち。ここにはオーディオグレードの高品質品を奢ってやりました。音の厚みと空気感を支える重要なパートなので、妥協はナシ。やや外径が大きくなってしまったため、一部のネジ固定ができず…でもまぁ、こういうのもDIYの味ですね(笑)。

ステップ④:USB電源の強化 ─ 音の土台をガッチリ

そして最後は、USBバスパワーの宿命とも言える“不安定な電源”へのアプローチ。元のコンデンサを高性能のものに交換しつつ、並列でさらに容量を追加。加えて高周波ノイズ対策も施しました。

表だけでは足りず、基板裏面まで使うことに…でもこの一手で、電源ノイズの影響をグッと抑え込み、低域の沈み込みと空間の見通しが劇的に改善されました。


改造を終えて、いざ試聴──

輪郭の明瞭さ、静寂の中に浮かび上がる音像、そしてボリュームを絞っても痩せない芯のある音。思わず「うわ、こんなに鳴ってたのか」と呟いてしまうくらい、音楽の楽しさが何倍にも広がりました。

特に高インピーダンスのヘッドホンを愛用しているミュージシャンやエンジニアには、この手応えは嬉しいはず。改造後の音質は、近いモデルで言えばScarlett Solo Gen4あたりが比較対象になるかもしれません。

ちなみに、ついでに味気なかったボリュームノブもカラフルなものに換装。無骨な筐体にポップなアクセントを加えることで、「音も見た目も楽しむ」っていう、ちょっとした遊び心もプラスしてみました。

これは単なる音質向上じゃなくて、“楽しく音楽を鳴らす装置”への変身。US-1×2、まだまだ現役で使えるぞ…と思わせてくれる、大満足のモディファイとなりました。


※改造パーツの詳細や、Scarlett Soloとのスペック比較は下表にまとめてあります。興味ある方は、ぜひ参考にどうぞ。